米国は利上げ実施!日米の債券市場を比較してみよう!

最近、債券に関する質問を受けました。

債券といっても日本ではあまり馴染みがないのですが、国債とか社債とかいったもので、株式よりも投資先としては手堅い印象があります。景気がいいと株に投資され、景気が悪いと債券に投資されるといいます。

 

何が投資で何が貯蓄なのか、とかは国によって定義やイメージも違って一概に比較することが難しいです。ただ、アメリカなどでは金融教育が進んでいて、かなり積極的に資産を分散させることはよく言われます。

 

というか金利0.001%の銀行預金(普通預金)にほぼ塩漬けで、家計の金融資産が1800兆円ってすごい国だと思います。銀行に1億円預けても0.001%だと金利はたったの1000円( ー`дー´)キリッ!いくらデフレ経済だとは言え、金融教育をもっと真面目にした方が良いと思いますし、他国を見れば日本が特殊だというのは分かると思います。

 

今の時代、富を稼ぐにも通行量というか、知識の量が影響してきます。

 

さて、そんな中、自分たちを客観的に見つめるためにも、日本と米国の債券市場の違いを見ておこうと思います。

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* 日本の債券残高: 日本証券業協会、公社債発行額・償還額等

* 米国の債券残高: Securities Industry and Financial Markets Association, US Bond Market Issuance and Outstanding

 

まず、驚くなかれ、アメリカの債券市場は日本の約4倍もあります。

日本は国債が8割を占めていますが、アメリカは多様性に富んでいて、ABS(Asset-backed securities:資産担保証券)やモーゲージ債(住宅ローンを担保にして発行された債券)などが大きいのが特徴です。

 

このモーゲージ債ですが、サブプライムショックの時に色々と問題になりました。アメリカではファニーメイフレディマックといった政府系の企業が中心となって、住宅ローンを買い取って保証を付けたうえで証券化し、発行しています。

※2008年以降、両社とも経営破綻してしまって政府の管理下に置かれていますが、最近では米国の上院から分割案が出ているようです。

 

住宅ローンも日本では銀行が自分で抱えていますが、アメリカでは6割程度は証券化して売ってしまっています。

※住宅ローンは基本的に延滞率も低く、優良債権で儲かるのです。

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* 日本の住宅ローン残高: 住宅金融支援機構、業態別の住宅ローン新規貸出額及び貸出残高の推移

* 日本の住宅ローン証券化残高: 日本証券業協会、証券化市場の残高調査

* 米国の住宅ローン(Mortgage)残高: the Fed, Mortgage Debt Outstanding

* 米国の住宅ローン証券化残高:Securities Industry and Financial Markets Association, US Mortgage-Related Issuance and Outstanding

 

そもそも住宅ローンの市場自体が(文字通り)桁違いなのですが、市場に流通しているMBSだけで日本の国債並みの量があります。

住宅ローン全体でいえば、1,622兆円とアメリカの国債発行額以上のマーケットということで、すごいことです。

 

これは考え方次第ではありますが、日本の銀行も住宅ローンを自分で抱えてバランスシートを大きくするだけでなく、これらを使った面白い商品開発もできるのだと思います。

※もちろん、今の住宅ローン金利も激安ですから、それはそれで今は難しいのだとは思います。

 

しかし日本も国債の額が大きいですが、アメリカの国債の大きさも凄いですね・・・。

アメリカはまだ人口も増えていますし、そもそも企業による経済成長も世界一です。防衛費を削れば財政の健全化もできるという裏の手も持っていますから、日本と同じ状況ではありませんが、QE(Quantitative Easing:量的緩和)の出口も見えてきた今、この国債の行方も興味あるところです。